家づくりで、外壁や内装に使われる美しいタイル。
重厚な感じもポップな印象も自由自在で人気のある建築材料ですが、実はものすごく古くから使われているものなのです。
「古きを温めて、新しきを知る」。
その歴史をかんたんに振り返ってみましょう!

世界最古の「タイル」

タイルは、土を約1300℃の高温で焼き固めて作ります。
水や火に強くて長い間変質せず汚れや傷にも強いため、住宅建築では主に外壁や、キッチンなどの水回りでよく使われています。

このタイル、最も古いと確認されているのは古代エジプト時代のもの。
今から約4700年ほど前に作られたピラミッドの遺跡から発掘されました。
地下通路の壁に装飾として貼られていた、美しい水色のタイルが世界最古のタイルと言われています。

現在のタイルは、どちらかと言えば家を内部、外部の環境から「守る」ために使われるイメージですが、当時は宝石にも似たとても「美しい」ものとして、主に特別な場所の装飾に用いられていたと考えられています。

このタイルの美しさは、長い時を経て世界各地でも愛されてきました。
写真のタイルの色も、大昔のものなのに退色もせず、美しいままですね。
厳しい外部環境にも変質しない、タイルの性質を良く表しています。

世界各地に広まったタイル

タイルが生まれる以前、一般的な住宅を建てるために使われていたのは「日干し煉瓦」です。
日干し煉瓦は、粘土を天日で乾かして作ったシンプルなブロックでしたが、高温の窯で焼くことでより強い焼成煉瓦が作られるようになりました。
するとその表面に釉薬をかけて、様々な色も出せるようになりました。
これが、タイルの始まりと考えられています。 その後中国などでも、独自にタイルが生まれていきますが、無視できないのはイスラム教の影響。
イスラム教では、寺院などで鮮やかな色のタイルが装飾に使われました。
信仰にささげる芸術として大きく進歩を遂げたタイル技術は世界に広まり、日本をはじめ、各地の陶磁器に大きな影響を及ぼしました。

日本のタイル

日本ではじめてタイルが生産されたのは飛鳥時代と言われています。
仏教を広めるための寺を建築する際、渡来してきた人たちの技術がもたらされ、その技術を利用して寺の瓦が焼かれました。

この瓦、よく考えると建材としてはタイルと同じ。
つまり、焼き物+釉薬でできていて、美しく耐久性があります。
現在でもメンテナンスフリーの建材として再注目される瓦ですが、ここにその始まりを見ることができます。 一方、現在「タイル」という言葉でイメージする、家を覆う素材としてタイルが普及したのは、明治に入り洋風建築が盛んになってから。
各地の歴史的建造物で、当時と変わらぬ美しさを保つタイルを見ることができます。

まとめ

材料は土などの自然原料であるタイルは、このように古くから私たちとともにある、伝統的な建築材料です。
一方で、近年では美しさや耐久性だけでなく、現代の暮らしにあった「機能性」を持った新しいタイルもたくさん登場しています。
自宅をタイルで守り、装飾する贅沢。
家づくりの際は、ぜひタイルのおもしろさを追求してみてください!